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日志


3月3日

砂漠の豪雨

アラブ首長国連邦UAEのドバイに住む友人から、メールと写真が届いた。

これがその写真。

 

 

年に一度か二度しか雨が降らないというドバイ。たまに雨が降ると珍しくてみんな仕事を中断して窓から外を眺めるというほど。そんな乾燥した土地にまとまった雨が降って、あっという間に洪水となり、多くの道路や家が浸水したらしい。で、どれほどの豪雨だったかというと・・・

 

全部で30mmの降雨量だったという話。

  

日本の集中豪雨なら一時間で降ってしまうほどの量である。雨に弱い砂漠の国のエピソード。

2月20日

息子の入院

もうすぐ二歳になる息子が調子を崩したのは月曜。私が出張で北欧にいるときだった。妻から嘔吐と下痢が激しいと聞かされ、最近はやっているインフルエンザのたぐいかと思ったが、三、四日で治るだろうと考えていた。火曜日の時点では熱も高く、何を食べても戻すか、下痢となってしまう状態。水曜になり、まだ下痢と嘔吐が続くが熱は下がり、やや上向きの兆候が見えたのだが、木曜の夕方になり再び体力が低下したようだ。自力で立ち上がれず、まったく元気がない状態。この日私は午後ずっとマーケット・リサーチ会社とのミーティングで出払っており、夜帰宅途中の車の中で容態の悪化を知る。翌朝金曜に午前中PRエージェンシーとのミーティングを終えてから、近くのGPに連れて行こうと電話をするが留守番電話ばかりでらちがあかず、結局午後に、遠いが日本人向け診療所の予約が取れたので、午後会社を休んでそこに向かった。

 

しかし、日本人の医師に言われたのは、「インフルエンザだと思われるので、なるべく水分を与えて様子を見ましょう。今話題のタミフルは副作用が疑われるので小さな子供にはなるべく与えないというのが医学界の趨勢。イギリスのGPに行っても同じ事を言われて返されるだけでしょう。明日もう一度来てください。そのときの進行具合によって今後の治療方針を考えましょう」とのこと。この時点で息子の体重はおそらく2kgも落ちており、大人で言えば10kgを5日間で失ったようなものだ。目に見えてやせて衰弱している。意識も半混濁状態。これでも様子を見るしかないのかと、仕方なく、そして明日は息子が少しはよくなっているようにという期待を抱きながら家に戻る。なお、この時点で娘も39度近い熱を出し、嘔吐がある。A型インフルエンザとの診断。Calpol  (薬品名Parcetamol) という、イギリスでもっともポピュラーな熱冷ましだけ処方される。

 

そして土曜、衰弱した息子には回復の兆しはなく、また遠路を日本人診療所へ。食べたり飲んだりする元気もなく、もう点滴をしてもらわねばだめだろうと医師にお願いするが、「確かに脱水症状が出ていて思わしくないですね。でもここには点滴の設備はありません。家庭で水分を与えてください。拒否反応などが起こる可能性もある点滴はイギリスでも最後の手段で、簡単にはやってくれませんよ。ここが日本なら入院ものでしょうが、こちらでは救急病院で運がよければ一晩泊めてくれるかも知れません。でも、長時間待たされますよ。それでも行くというなら紹介状を書きましょう。一時間待ってください。

 

果たして、その紹介状を手に再び遠路を戻って自宅近くの救急病院へ。時刻はもう夕方。何時間も待たされるという悪名高いNHS(国営)の救急病院だが、受付をすると意外にも待つほどもなく診察室へ通され、看護士に状況を説明。すると重大さに気づいたのかすぐに医師が大勢集まってくる。意識が朦朧としている息子にみんなが呼びかけて反応を見る。反応がない息子の名前を必死で呼びながら妻は目に涙をためている。脱水が激しいということで、すぐに点滴、そのまま数日間の入院ということになった。幸い命に別状はないようだが、もっと早い時点、たぶん木曜に容態が悪化した時点で適切な処置を施すべきだったのだろう。

 

ここで全面的に責められるべきは当然ながら親である私であるが、しかしながら日本人診療所の医師のコメントに私は危うい思い込みを見て取った。その医師はこう話した。「日本なら即入院しているところだが、医療に対する考え方の違いで、イギリスでは簡単に入院させない。だから地元のGPや救急病院に行っても自宅療養を勧められるだけです。だから様子を見ましょう」と。しかし、結果は逆だった。息子の状態を一目見てまずいと思ったイギリスの医師はすぐに点滴を開始、そのまま入院の措置を取った。もしその日本人の医師が日本にいればやはり、入院措置を取ったのではないだろうか。それが日本では常識だから。それを、「ここはイギリスだから」という思い込みで自宅療養を勧めることの危うさ。日英の間には微妙な医療現場の常識、治療方針の違いがあることは当然。その狭間にいる在英の日本人医師は、時にイギリスの常識の中での治療方針判断を迫られるのだが、日本人医師の考えるイギリス医療の常識というものにはときに間違った思い込みがあるというひとつの例ではないだろうか。

 

もし、私と妻が点滴をしてくれるよう日本人医師にお願いしなければ、そして再び自宅に彼を連れ帰ってむなしい努力をもう一日続けていたらどうなっていたのか。医療でさえ、いざというとき頼りにできるのは自分の判断だけなのだという厳しいレッスンだった。

 

結局、土曜の夜は私は病床の息子の隣で夜を明かすことに。妻はやはり病気の娘を休ませるために自宅へ。今晩日曜の夜は私が自宅、妻が泊まりだ。私や妻も発症こそまだしていないが同じインフルエンザに感染している可能性が高いという。ここで我々までダウンしたらどうなるのか。こういう時は海外にいることの心細さ、実家の両親などの助けのありがたさを痛感する。

 

 

今日のイギリス英語

E&A : Emergency and Ambulance 救急病院のこと。

2月18日

医療制度

 もうすぐ2歳の息子が今週体調を崩し、ずっと下痢と嘔吐を繰り返している。熱はもう下がったものの、ぐったりしてなかなか病状が回復しない上、娘までが熱を出したため、今日は急遽仕事を午後だけで終えて、午後二人を病院に連れて行った。どうもインフルエンザのようだ。

 

医療は海外で暮らす人にとって最大の悩みである。特に小さな子供を持っていると心配は絶えない。医療保険制度は国によって異なり、アメリカのように国民皆保険制度が存在しない国もあれば、イギリスのようにイギリス在住者は医療費は原則無料という国もある。それぞれ弱点があり、アメリカは保険が自費になる上、その保険料が異様に高いので、貧困層を中心に保険に加入できない人が多い。そうした人は医療が受けられず、社会問題化している。

 

一方イギリスは、NHS (National Health Service)という機関があり、たとえ外国籍であっても長期滞在者、永住者の医療費は無料である。その結果、NHSの病院はいつも満杯。貧困層や移民の患者も多く、入院待ちで数ヶ月なんていうのもざら。これが国の医療費負担の増大を招き、国庫は破綻状態。NHSの病院で働く医師や看護士の待遇は低く抑えられ、医療サービスのレベルも低い。イギリスに長く住んでいた会社の先輩は、かつて小さな息子さんが深夜の急病で救急病院に連れて行ったが、すでに満杯。廊下で5時間も待たされたというひどい経験もしている。

 

こうした結果、イギリスではプライベート診療が発達。これは高い料金を取って高い医療サービスを提供するもので、国の保険は効かないので目玉が飛び出るような請求をされる。NHSがあてにならないため、お金がある人はこちらを利用することになる。

 

今回の私の息子の場合、まず地元の医院に電話をしたがすぐに予約はとれず、仕方なくかなり遠くにある日本人向けのプライベート診療所に連れて行く羽目となった。

 

今日のイギリス英語

GP (General Practitioner) = 一般医。日本でいう町医者のようなものにあたるか。イギリスは主治医制をとっており、引っ越してきたら地元のGPに登録し、主治医を決める仕組みとなっている。GPがまず患者の一次受けを行い、それでも解決できない場合、スペシャリスト(専門医)を紹介してもらえる。直接専門医にかかることは原則できない。GPでの医療は無料だが、GPの医師はみな薄給だといわれる。

1月23日

英語と日本語のせめぎ合い

最近、うちの娘は「日本語より英語のほうが話すのが楽だ」と言うようになった。少し前まで日本語のほうが楽だから好きだといっていたのに、いつの間にか逆転してしまったようだ。英語を話すのが楽になること自体はすばらしいことだが、日本語を避けるようになると、これは見過ごせない。われわれはいずれは日本に戻るわけで、そのときに日本語がおろそかでは心もとないし、いじめにあう可能性さえある。

 

数年前、会社の先輩でカリフォルニア勤務をしていた人の自宅に行ったことがある。小学生の娘さんと息子さんがいたのだが、やはり日本語の発達が遅れることを気にして、自宅での英語使用を禁止していた。そのときはそこまでする必要があるのかななどと思っていたが、わが娘の現状を見ていると、確かにやや心配になる。最近は新しい日本語の単語を耳にして私や妻が意味を教えると、「それは英語では~ということ?」と、英単語で意味を確認する。英語で日本語の意味を理解するという感じなのだ。まだ数年は海外暮らしが続きそうなので、日本語と英語のレベルをいかに同時並行で維持向上させるか、効果的な環境を作り出してやらねばならないと思うが、これはかつて漠然と思っていたよりはるかに難しいことだということを思い知らされている。

 

ちなみに、うちの1歳10ヶ月の息子は・・・いまだにパパに向かってママと呼ぶことが多い彼だが、それでも"No"という英単語をよそで覚えて来たようだ。

 

今日のイギリス英語

Childminder : 自分の自宅に近所の子供を集めて面倒を見てお金をもらうという職業。国か自治体の資格認定を受けなければならない。

12月26日

ロケーションフリーTV

海外生活者にとって、日本語TV放送は貴重な情報ソースである。最近はインターネットの普及で、TVがなくとも日本の情報はニュースはリアルタイムで入手できるようになったものの、日本で人気のドラマや番組などはTVならではの楽しみだし、私たちのように小さな子供のいる家庭では子供が日本語や日本の文化に親しむのにTVは大きな効果がある。

 

ヨーロッパではJSTVという日本語による衛星放送があるが、NHKの天下りが多いという半官半民経営、受信には巨大な専用アンテナにデコーダーが必要で、受信料も月に50ユーロ(7千円弱)と、年間10万円近い出費である(それでも赤字経営と聞く)。チャンネルは一つだけで、番組はNHKのものを中心に良くも悪くも万人向け。果たしてその高価な出費に見合う内容かというとはなはだ疑問で、JSTVを入れていない日本人家庭も多い。

 

そんな海外生活者の不便を解消する商品がソニーから登場し、最近話題を呼んでいる。ロケーションフリーTVと名づけられたそれ、日本の自宅のルーターに接続すると、ネットを通じてどこにいても自分のパソコンで日本のTV番組を楽しめるというもの。二年ほど前から売られていたが、当時は10万円以上していたのが、最新モデルは3万円以下まで下がり、海外生活者や出張者が次々購入して、目下品切れの人気らしい。私もこのたび購入、日本の実家での接続が必要なので、次回日本に帰った時にセットアップする予定だが、それが完了した暁には、JSTVからおさらばするだろう(半年で元が取れる)。ネットとTVが競合する時代がすぐにやってくるとされるが、まずは海外で一足先に競争の波はやってきそうだ。

12月7日

差別について

先日のフランスでの暴動で騒ぎを起こしていた若者の多くは移民の二世や三世であり、ほとんどがフランス国籍を有していたという記事を読んで思い出したこと。

 

海外で育った知り合いが、もう海外に住みたいとは思わないという。なぜかといえば自分が差別されていることを感じるからだという。つまり、現地に溶け込んで暮らせば暮らすほど、言葉や習慣が分かるので、自分が差別されることに敏感になるということがあるようだ。

 

私の場合、自分はあくまでよそ者であり、イギリスに永住するわけではないという意識があるため、イギリス社会に溶け込もうという意欲は薄い。そのため、自分がやんわり疎外されていてもあまり気にならない。言葉も完璧ではないので、言葉のニュアンスにひそむ侮蔑や差別にも鈍感ということもあるだろう。

 

フランスの移民の場合も、移民してきた本人たち(一世)は、自分たちはよそ者という意識があり、差別には鈍感で、社会にも遠慮があったのかもしれない。しかし、二世、三世はもはや生まれながらのフランス市民。言葉も分かるし、社会状況もよく分かっている。結果として、他の白人と比べたときの自分の置かれた不利な条件に気づいてしまう。このように人種差別は、当人たちが現地に浸透しようとすればするほど強く感じるというジレンマがある。

 

また、実際には人種差別でなくとも、不当な扱い、不愉快な目にあった場合に、その人が人種差別をその理由として短絡的に結びつけやすいという心理的傾向もあるだろう。こうなるといらぬ疑心暗鬼をよび、悪循環だ。

12月3日

またまた東京へ

私は普段から頻繁に出張しているが、出張というのは自発的に予定する場合と、飛び込んでくる場合があり、私の場合は半分以上は自分で予定していれるものである。だから、大変なのも納得ずくなのだが、困るのは飛び込みの出張。
 
昨日金曜朝、会議中に携帯がなった。見るとヨーロッパ本社のCEOの名前が。緊張して出ると、「急なんだが、来週私と一緒に東京での会議に出席してくれ。日曜に集まるので、土曜日には日本に到着するよう、金曜のフライトをすぐに予約するように。」
 
次の金曜は楽しみにしていた娘のクリスマス演劇の発表会とUKオフィスのクリスマスパーティがあったのだ。週末もまるつぶれ。しかも帰りの日程は未定だと言う。その翌週は月曜からお客とのランチと、その足でデンマーク出張があったが、これもキャンセルせねばならない。週後半のドイツ出張には影響しなければと思うが。とにかく、予定をなにもかもぶち壊す飛び込みの東京出張。しかもつい三週間前二年半ぶりに行ったばかりである。海外駐在員、楽ではない。
 
金曜は他にもショッキングなニュースが立て続けに。これはまた後日。
11月13日

セントラル・ヒーティング壊れる

ここ数日ロンドンは急に冷え込んできた。それと同時にうちの脆弱なセントラルヒーティングが悲鳴を上げた。一階のフロアすべてのラジエーターが死んでしまい、コックをひねっても冷たいまま。原因は不明。気温はぐんぐん下がり、台所、ダイニング、リビングの気温は日中でも14度前後。室内着だけでは寒い。夜間は10度を割り込むと思われる。

 

実は昨冬2月ごろ、同様の問題が起きた。あの時も家の中で息が白くなるほどで、寒さに家族全員風邪を引いてしまった。あの時は配管内部の掃除など、メンテナンスをしてもらって、一時的に復活して春を迎えたが、根本的には直っていなかったようだ。イギリスの家は古く、暖房・給湯システム(いまだに巨大なボイラーが主流)と水周りにトラブルが多いといわれるが、我が家はまさにそのパターンにはまっている。

 

大家に連絡して今日日曜、British Gasのエンジニアに来てもらったが、ポンプが旧式なので、これを交換しないとだめだとのこと。火曜にまた来ると言い残して去っていったが、その後、かろうじて生きていた二階の寝室やバスルームのラジエーターも熱を失って冷えていった・・・。こうなると家中逃げ場がなくなる。折悪しく息子は38度以上の熱を出しており、私は夕方から日本に向けて出張。

 

かわいそうな妻子を残して、後ろ髪を引かれる思いで自宅を後にし、ヒースロー空港へ向かったのだった。

9月21日

話題についていけない疎外感

私の会社の先輩に欧州暮らしが3カ国通算10年という人がいる。その人が先日私に言ったことがある。
 
「もう10年も海外に住んでて、英語で仕事の話をするのは大丈夫なんだけど、話題が仕事を外れるととたんに相手が何話しているのかついていけなくなるんだよね。」
 
これは私もよく理解できる。グループで話をしていて、話題が自分の知らない内容に飛ぶと、とたんに彼ら同士が何を話しているのか意味不明になり、「ロスト」する。
 
特にこれがイギリス人同士や、アメリカ人同士の会話になると間に割って入っていくのは至難の業だ。途中意味が分からなくても「ちょっと待って、今のどういう意味?」と聞いて彼らの会話を中断させるのもはばかられる。結局よく分からないまま聞き流すのだが、すでに話の流れが分からなくなっているから、さらに会話から取り残されてますます疎外感を感じる。
 
こうした日常会話が完璧に理解できて話題にJUMP INできるようになるためには、語学力も必要だが、それ以上にやはりその国のさまざまな背景情報をある程度知っておく必要がある。それは今はやっているTV番組についてかもしれないし、新聞で話題の事件かもしれない。昨夜のサッカーの話題もあるだろうし、現地の病院システムについての話かもしれない。こうした話の内容は多岐にわたるし、毎日状況が変わる可能性も高いので、付け焼刃では通用しない。そこに長く住んで、現地の人たちとの交流や共有体験を通じて少しずつ積み上げていく知識なのだ。
 
私も多かれ少なかれ、こうした疎外感を感じながら当面は暮らしていかざるを得ないのであろう。終わりなき戦いである。
 
 
 
今日のイギリス英語
Autumn = 秋。 Fallはアメリカ英語。ロンドンはすっかり秋の気配だ。
7月31日

バイリンガル教育について

海外で子育てをしていると人から、「お子さんがバイリンガルになっていいですね。」とうらやましがられることが時々ある。実際のところ、どうなのか。私の娘は1歳半の時から海外に暮らしているが、娘が4歳になるくらいまでは、彼女が順調に英語を身に付けていくのを見ていてうれしく思ったものだ。しかし、5歳になったころ、彼女の日本語が遅れていることに気がついた。調べて見ると、海外で幼年期を過ごした子供の場合、母国語の習得が遅れ、かといって外国語も完璧に身につく前に日本に帰国といったケースが多くあるようだ。この場合、バイリンガルにはなれず、いわゆる「セミリンガル」としてどちらの言葉も不完全なまま育ってしまう。母国語は思考に使う言語だから、これが未発達だと、基本的な思考力に悪影響が出てしまう。
 
先週、英語を子供に教えるなという本を読んだ。これは海外で子育てをしている人たちの間で話題の本で、筆者はアメリカで日本人向け学習塾の講師として、上記のようなバイリンガルになれなかった日本人子女たちに多く出会い、バイリンガルを育てることの難しさについて思い知り、昨今の安易な英語早期教育礼賛の風潮に警鐘を鳴らしている。彼の論点をまとめると以下のようになる。
 
  1. 外国語の習得は、母国語のベースがきちんと出来上がった上に行った方が効果的。
  2. 子供レベルの英語がいくら流暢に話せても、所詮子供言葉であり、将来国際人として必要とされる英語とは別物。
  3. 国際人として必要とされるのは英語そのものではなく、話の中身と、それを論理だてて話す論理構成力であり、それはしっかりした母国語教育なしには得られない。
  4. したがって、子供のうちから英語教育をはじめたからといって、バイリンガルに育つというのは甘い考えであり、海外に住んでいても失敗する例は枚挙に暇がない。親子の並外れた覚悟と十分な体制が必要。
 
豊富な実例と経験に基づく話は説得力があり、私にも耳が痛い話が多かった。私の娘は今6歳半で小学校一年生だが、日本語力をもっと向上させることにより、英語の力も相乗的に伸ばしていくようにしなければと改めて思った次第。とはいえ、彼女は週五日は地元の学校で英語環境にあるので、日本語力を維持向上させることは簡単ではなく、彼女の頭の中で年々英語が強くなっていくのではないかと懸念している。
 
 
なお、この本ではアメリカの子女しか取り上げていないが、英語圏以外の国の日本人の子供は現地の外国語との兼ね合いがあり、さらに複雑で難しい状況にある。われわれがドイツにいたころは、日本人学校か、英語の学校か、はたまたドイツ語の現地校で教育を受けさせるかで悩んだことがある。結局英語を選び、その後の英国転居があったので吉と出たが、ドイツで日本人が英語で教育を受けるというのも簡単ではない。つまり、学校を一歩出ればドイツ語の世界であり、家では日本語なので、100%英語環境にある子供たちと比べると、英語、日本語習得ともに不利な条件下に置かれるのである。このあたり、共通の悩みを持つ親は結構多いと思う。
 
 
 
7月9日

テロ~不安の時代

今回のロンドンのテロの話を聞いたとき、おなかの底が冷たくなって重たくなるような、強い不安を覚えた。
 
この感覚はあの9.11のNYの同時多発テロの時にも味わったものと同じものだ。
 
あの時、私はアメリカでの留学生活を始めてまだ間もなかった。
 
朝、TVをつけて飛び込んできた衝撃の映像と、それに続く強い動揺。
 
人々の間に恐慌が広がり、スーパーやガソリンスタンドに物資を求めて人が殺到した。
 
そして、学校ではアラブ系やアフガン系留学生に対する嫌がらせや、暴力事件が発生。
 
アフガンへの軍事介入にそれに続くイラクへの宣戦、テロの連鎖。
 
 
不安の時代が幕を開けた。
 
 
飛行機に乗っていても、地下鉄に乗っていても、高いビルにいても、いつも不安が頭の隅にこびりついている。 
 
私の子供たちに平和な時代を残してあげられるのだろうか。それが今は気がかりだ。
6月30日

クレジットカード情報流出

私のクレジットカードが悪用されそうになった。一昨日封書が届き、あけてみるとドイツで契約しているクレジットカード会社から。ドイツ語の手紙だったため詳細が分かりにくかったが、一見してあなたのカードがフランスで使われようとしましたが、記憶にありますかという内容。2件合わせて500ユーロと少し。犯人は私のクレジットカード番号を何らかの方法で入手し、ウェブで買い物をしようとしたが、裏の3桁のセキュリティコードが分からず、失敗。即刻カード会社に通報が行った次第。幸い未遂に終わった。
 
 
国が変わると通貨が変わるため、その国で口座を開き、クレジットカードを作らなければ不便だ。私の場合、日本-->イギリス-->アメリカ-->ドイツ-->イギリスと移り住んでいるため、それぞれの国でデビットカードとクレジットカードを作る羽目になり、個人用と会社用を合わせると結果的に4種類の通貨に10枚以上のクレジットカードを持っている。このうち普段使うのはポンド建てのカードと円建てのカードのせいぜい3,4枚。というわけで、使わないクレジットカードは解約すべきなのだが、新しい国に移った直後は口座もカードも前の国にしかないので、古いカードを最初の1~2ヶ月は使うことになる。で、国を移ってしまうといちいち解約手続きをとるのも面倒なので、そのままになってしまっていた。
 
 
今回の事件を機に、ユーロ建てのカードは即刻解約。他の使っていないカードも早く解約しなければ。
 
6月1日

誤解

同僚の日本人がいた。彼は、イギリスを含めて長くヨーロッパに暮らしていたが、少し前に日本に帰った。

彼は明るい性格なのでよくしゃべるのだが、英語はあまり上手ではなかった(そう、たとえ長く海外に暮らしてもうまくならない人はならないのだ)。今日、イギリス人の同僚と彼についての話題になったのだが、そのイギリス人が彼の人柄について大きな誤解をしていることが分かった。以下、その原因となった会話の概要。

 

日本人「いやー、ロンドンのあのあたりはインドコミュニティがあって、インド人がすごく多いよねえ。ほんと、石を投げればインド人にあたるくらいだよね。ははは。」

 

と言ったつもりが、相手のイギリス人にはこう聞こえた。

 

「いやー、ロンドンのあのあたりはインドコミュニティがあって、インド人がすごく多いよねえ。ほんと、あんまり多いので、石を投げつけてやったよ。ははは。」

 

この会話がされたのは、おそらく1-2年は前。そのイギリス人は、それ以来、あの日本人はなんてクレイジーで人種差別主義の危険なやつだと今日まで思い込んでいたのだ。「石を投げればあたるほど多い」、といったたとえ表現を彼は中途半端な英語でしようとしたものだから、石を投げるという行為がそのまま真に受けられてしまった。

怖いのは、言った本人が、誤解を受けていると気づいていないこと。周囲は、彼の英語でのコミュニケーションにはクエスチョンマークをつけていたのだが、本人は自分の英語力に問題はないと思い込んでいるところが始末が悪い。

 

この一例を見ても、いかに外国人とのコミュニケーションが難しいか分かる。自分も気をつけねばと思った次第。

 

今日のイギリス英語

chuck = 投げる。 throwはボールや石など、モーションをつけて「きちんと」投げるようなイメージがあるが、こちらは、そのあたりのものをつかんで「何気なく」投げるというニュアンスで使われるようだ。 そういう意味でよりカジュアルな表現。chuck awayで投げ捨てるという意味になる。 

 

5月29日

英語の夢

英語の夢をたまに見る。今朝はなぜかロンドンのビクトリア・アルバート博物館に赴く夢を見た。途中ロシア人の団体とすれちがい、知らないはずのロシア語もリアルに聞こえてくる。不思議な夢だった。いつから夢に英語が登場するようになったのか考えてみた。

 

大学を出るまで特に英語に触れる生活ではなかったのが、就職したとたん、英語を使って仕事をすることになり、かなりのストレスになった。その当時、英語で寝言を言うと人に指摘されたことがあるから、そのころから英語で夢を見はじめたのかもしれない。

 

その後、留学準備を進めていたころ、TOEFL, GMATなどの試験をスコアをアップするために、英語を集中的に勉強した時期があった。かなり猛烈な詰め込みで、仕事も続けながらだったので、体を壊すほどのストレスだった。このころからたまに英語で夢を見るようになった。

 

それからはずっと海外生活を続けているため、最近は普段英語を話す時間の方が多くなり、夢の登場人物も外国人の友人や同僚が増えた。最近はたぶん、夢の半分近くは英語ではないかと思う。すべて英語でなくとも、日本語とのちゃんぽんの夢も多い。これは海外生活のストレス故なのか、それとも英語脳になってきた証拠なのだろうか。その割には上達がもうひとつだと思うが。

 

今日のイギリス英語

dosh = カネ。オーストラリアとイギリスで通じるスラング。"Have you got dosh?"「カネもってる?」などと言う。

 

5月23日

日本人補習校

私の娘は毎週土曜日、日本人補習授業校という学校に通っている。海外に住む日本人の子供が、将来日本に帰ったときに困らないよう、日本語の習得と維持をすることを目的として、海外に進出した企業が自主的に集まって作った子供勉強会に端を発しており、今では国のバックアップを得て、文部科学省から教師やスタッフが派遣されて運営されている。授業は土曜日の午前中だけで国語のみ。

 

ロンドン周辺には三つこうした学校があるが、私の住む地域の補習校は、一クラス平均10数人で構成され、一学年3クラスほど。半数程度が国際結婚でこちらに住んでいる人の子供で構成されている。彼らの中には日本語があまり理解できないような子供もいるが、そのような子はクラスになじむのも難しく、親の心配、先生の苦労も大きいようだ。

 

昨日、クラスの親が集まる懇談会に出席したが、中に日本語が分からないイギリス人のお父さんが参加していた。彼が挨拶して言うには、奥さんが日本人だったが、数年前に亡くなってしまい、でも子供にはおじいちゃん、おばあちゃんとのコミュニケーションができるように日本語を維持させたく、補習校に入れたという。子供と、そして亡くなった奥さん思いのよい父親だなと感心するとともに、彼と彼の幼い娘がこれから直面するであろう、日本語習得の苦労について、想いをはせながら帰路に着いた。

 

今日のイギリス英語

till = スーパーのレジ。casherと同義。日本と違い、ベルトコンベアに商品を載せてレジでスキャンする。日本だとフランス系スーパーのカルフールがこの方式を採用している。

 

追伸:月曜から3日ほどドイツに出張。明日の朝は5時起き。

5月19日

差別されるということ

「欧米で暮らしていて人種差別にあったりしませんか?」と聞かれることがたまにある。私の記憶ではいわゆる明らかに差別的な待遇に合った事は幸いにない。しかし、つい最近までアイルランドのダブリンに住んでいた友人は、家族で道を歩いていたら、「チャイニーズは帰れ」(日本人だが)と罵声を浴びせられて、石を投げられたことがあるそうだ。

上は極端な例だが、オーストラリアで子供時代を過ごした親戚によれば、どっぷりその社会に浸かって暮らしているといやな目にあうことがちょくちょくあるそうだ。子供時代からずっと暮らしていると、相手の話している言葉もニュアンスまで完全に分かってしまうので、差別されていると分かってしまい、とても敏感になってしまうとのこと。だから彼女は海外では暮らしたくないと言っている。海外が長い人、現地に同化している人ほど、逆に疎外感を味わうことが多いようだ。

つまるところ、私などは相手の言葉に含まれる微妙なニュアンスやトゲには気づかないだけなのかもしれない。欧米で暮らす多くの日本人がそうではないだろうか。多少相手の愛想が悪くても、それが差別なのか、たまたま機嫌が悪いだけなのか分からないし、何かを待っていて自分の順番が回って来なくても、それが忘れられただけなのか、意図的に後回しにされているのかだって分からない。すくなくとも、露骨に差別されることはこれまでなかったし、多少不愉快な扱いをされても、それが相手の差別意識から来るものだとは考えないようにしている。それを言い出すときりがないし、被害妄想になる。救いもない。単に相手の機嫌が悪かっただけと思ったほうが楽なのだ。

 

今日のイギリス英語

as well = ~もまた。文の最後につけて"too"と同じように使う。アメリカでも使えるが、イギリスでの使用頻度がはるかに高いように思う。

 

 

5月4日

息子歩く

一歳の息子がとうとう歩き出した。はいはいをはじめたのは早かったのだが、そこからが長く、しかも左足を引きずるようなはいはいだったので、足が悪いのではと少し心配していた。とてもうれしい。

海外に住んでいて一番苦労するのは教育と健康だ。特に健康は生活の根幹にかかわるので重要なのだが、、医者とのコミュニケーションが英語だったりドイツ語だったりするので難しい。日本人のお医者さんもいるが、設備が不十分だったり、評判がいまいちだったり、遠かったり。選択肢が少ないので簡単には行かない。やはり、家族全員が健康でないと海外駐在は難しい。

 

今日のイギリス英語

Sunny spells = 晴れ間。天気予報で多用される。spellsには期間、合間という意味がある。ここ数日のイギリスは(ドイツも)、よく晴れて気温も今年初めて20度を超えた。

 

4月2日

電圧

海外を転々としていると、ひとつ困るのが電圧の違いとコンセントの形の違い。私は短い間にイギリス、アメリカ、ドイツ、イギリスと移り住んでいるため、自宅には新旧含めていろんな電圧、いろんなコンセントの形をした電化製品が入り混じっている。ステレオシステムはドイツ、DVDプレーヤーはアメリカ(当然マルチリージョン、マルチシステム対応)、TVはイギリス、デジカメは日本、プリンターはドイツという具合だ。すべての国で電圧が異なる。細かいものを入れればほかにもいろいろあって、その結果我が家では電圧を変えるトランスとコンセント形状変換のトラベルアダプターが無数に使われている。

 

失敗もいろいろとある。日本は100V、アメリカは120Vでコンセントの形や周波数は同じ、電圧差も小さいため、日本で買った電化製品はたいがいアメリカでもそのまま使えてしまう。ただし、それでも電圧が異なるため、油断していると壊れることがある。私の場合、日本からアメリカに持っていった炊飯器をそのまま使っていると、一年ほどたったある日内部の配線が焼けておしゃかになった。一歩間違えれば火事である。一般的にこうした使い方をすると製品の寿命が短くなるようなので注意。

 

一方ヨーロッパは大陸が220V 、イギリスは240Vなので、日本やアメリカの電化製品はトランスなしでは危険。日本で買ったデスクトップパソコンをイギリスでトラベルアダプターをつけただけでうっかりプラグインしてしまい、中の基板が一瞬で「爆死」してしまったこともある。

4月1日

イギリスへの車の輸入

車がなかなか返ってこない。

実は、ドイツからイギリスに引っ越してきたとき、妻と私はドイツで運転していた車を自分たちで運転してイギリスに持ってきた。当然ながら左ハンドルをイギリスで運転することになるので色々と不便なのだが、悩んだ末持ってくることにした。というのは、イギリスは車が非常に割高なのだ。これはイギリスだけが右ハンドルで他国と異なる仕様だからということが関係しているのだろう。同じ車でもドイツよりざっと3-4割も割高だ。だからイギリス人でもドイツで車を買ってイギリスに持ち込むひとが結構多いそうだ。

 

ドイツからイギリスへ車を持ち込んだ場合、具体的にどんな手続き、整備が必要なのか、いくらくらい費用がかかるのか、などについてちゃんと教えてくれる日本のサイトは見つからなかった(確かにあまり普通の日本人が必要とする情報ではない)。というわけで、ここではほかのEU諸国から車をイギリスに個人で持ち込む場合、どのようなことが必要になるのか、下に簡単にまとめてみた。

 

部品交換

  • ヘッドライト(対向車を照らさないよう、ライトの照射方向を左向きに交換。ヘッドライトはまっすぐ前を向いているわけでなく、ちょっと路肩を照らすようにセットされているため。)
  • スピードメーター(km/hからマイル表示に)

ここまでは割りと知られているが、これ以外にも:

  • リアフォグとリアのバックランプの位置が大陸とは左右逆になるので付け直す。

なんていうものもある。車種にもよるが、左右の配線を内部で逆につなげなおす必要があり、結構面倒である。

 

MOT(簡易な車検のようなもの)

新車登録後3年後以上たった車はイギリスのMOTの基準に沿った検査を受ける必要がある。

 

書類

車がEUの規制に合致しているという”Certificate of Conformity”という書類が必要。これは普通EUで購入した車には最初からついている。日本からの輸入車には当然ない。あとはDVLAというイギリスの陸運局への申請書が必要だ。なお、EUのナンバープレートの車はイギリスで半年間は運転してもよい。

 

で、予算だが、車にもよるがこれが一台30万円前後もする。時間も部品の取り寄せなどがあり、2週間くらいすぐにかかってしまうので注意。というわけで、私の車はもう2週間以上返ってきていない。

ちなみに、EU内の同じ左ハンドルの国での移動(フランスからドイツなど)であれば、簡単な排気ガス検査と手続きだけで済むので、ものの数時間で終わってしまう。費用も数百ユーロ程度。つくづくイギリスは欧州のはぐれものだ。

これが参考になる人…いないだろうなあ。

今日のイギリス英語 

Imperial unit = イギリス式単位 (スピードのマイル表示など)。 Imperialは大英帝国の意味で使われる。